競合エネルギー情報

10月
2018年10月1日更新分

電力・ガス取引監視等委員会の競争的な電力・ガス市場研究会、自由化貫徹への中間論点整理の報告書を発表

−電力・ガス自由化市場の競争現状を報告−

 電力・ガス取引監視等委員会(経済産業省の審議会)の下部組織である競争的な電力・ガス市場研究会は、このほど、自由化貫徹への中間論点整理の報告書を発表しました。
 この報告書は、小売全面自由化後2年余(ガス事業は1年余)の競争の現状(電気約500社、都市ガス約250社)を踏まえ、今後競争を通じて料金の低廉化をはじめとする自由化のメリットを最大化していくための規制運用上の課題は何か、また、電気の経過措置料金規制解除の判断はどのようになされるべきか等について、競争政策に関する理論的な見地から、昨年10月以降8回のわたる議論を経てまとめたものです。
 これによると、電力はこれまでのところ地域差はあるものの総じて自由化を経験した諸外国と比較して概ね遜色のないベースで進行していますが、新規参入者のシェアは今年7月末時点で高圧分野が約22%、特別高圧分野が約7%、低圧分野が約8%という状況であり、部門によってかなりの濃淡があるとし、また、最近高圧、特別高圧のシェア拡大が鈍化していると指摘しています。
 そして新規参入者からは電源の保有構造が圧倒的に旧一般電気事業者(従来の電力会社)に偏在している背景から、特にベースロード電源へのアクセスについて新規参入者は旧一般電気事業者に比べて限定的で不均衡であるとし、その結果、新電力が参入可能な分野は低圧部門を除くと負荷率が低いオフィス等の業務用高圧部門などに事実上限定され、負荷率の高い工場等の特別高圧分野には参入が困難であるとしています。
 更に最近は新電力の参入に際し、業務用高圧分野において旧一般電気事業者がスイッチング(切替え)や入札の意向を持っている特定の大口需要家に対して、非常に安い価格を特別提案することによって、新電力の事業を困難にし、競争を歪曲しているのではないかということもあるとしています。
 一方、都市ガスは昨年自由化された家庭用部門の新規参入者シェアは今年7月末時点で約3%であり、1年早く自由化された低圧電力の同時期におけるシェア約4%に比べ低調であるとしていますが、従来から自由化されていた工業用等のシェアは約16%で電気とほぼ同様な水準になっているとしています。
 また、主な新規参入者はLNG(液化天然ガス)及びその輸入設備を有する旧一般電気事業者であり、参入地域も限られていること(北海道、東北、中国、四国、沖縄地域以外の地域)は、電気事業に比べ特筆すべき点であるとしています。
 この背景としては、@都市ガスの卸取引所が存在しないことや都市ガスの熱量、圧力、成分等の違い等により都市ガスの卸調達先が限定されていること、A電力と異なり小売販売事業者にも保安業務が課せられ、体制整備が必要であること、B導管網の相互接続や運用が限定的であること、C旧一般ガス事業者(従来の都市ガス会社)が大口需要家と交わしている長期契約により市場の閉鎖が起こっている(不当に高額な違約金などの包括契約の存在)等を指摘しています。
 以上のような現状から、今後経済産業省、特に電力・ガス取引監視等委員会において、競争政策の観点からの具体的な政策措置が着実に検討され、実行することを期待するとしています。今後の動向が注目されます。
(出所:電力・ガス取引監視等委員会)